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金銭消費貸借変更契約書とは
金銭消費貸借変更契約書は、既に締結している金銭消費貸借契約(原契約)の条件を変更するための契約書です。返済が困難になった場合や、当事者間の合意により契約条件を見直す際に使用します。
原契約との関係
- 原契約:最初に締結した金銭消費貸借契約
- 変更契約:原契約の一部を修正・変更する契約
- 効力関係:変更部分は新契約が優先、その他は原契約が継続
変更契約が必要になるケース
よくある変更理由
借主側の事情
- 収入減少による返済困難
- 転職・失業による支払能力の変化
- 病気・怪我による一時的な収入減少
- 事業不振による資金繰り悪化
貸主側の事情
- 早期回収の必要性
- 利率の見直し要望
- 担保条件の変更希望
双方の合意による変更
- より現実的な返済計画への変更
- 利息負担の軽減
- 返済期間の調整
変更契約を避けるべきケース
- 一方的な条件変更(相手方の同意なし)
- 違法な利率への変更(利息制限法違反)
- 借主に著しく不利な変更(強要の疑いがある場合)
- 脱税目的の変更(仮装取引となる可能性)
変更可能な契約条件
1. 返済金額の変更
減額の場合
変更前:元金 1,000,000円
変更後:元金 800,000円(200,000円の債務免除)
増額の場合(追加融資)
変更前:元金 1,000,000円
変更後:元金 1,500,000円(500,000円の追加融資)
注意点
- 減額は贈与税の対象となる可能性あり
- 増額は新たな金銭授受を伴う
- 税務上の取扱いを事前確認
2. 利率の変更
利率引き下げの例
変更前:年18%
変更後:年12%
利率引き上げの例
変更前:年10%
変更後:年15%(利息制限法の範囲内)
重要な制限
- 利息制限法の上限を超えてはならない
- 当事者双方の合意が必要
- 既払い利息との整合性を確認
3. 返済方法の変更
分割から一括への変更
変更前:毎月5万円×20回
変更後:残元金600,000円を令和6年12月末日に一括返済
一括から分割への変更
変更前:令和6年6月末日に1,000,000円一括返済
変更後:毎月10万円×10回の分割返済
返済日の変更
変更前:毎月末日
変更後:毎月15日
4. 返済期間の変更
期間延長の例
変更前:令和6年6月30日まで
変更後:令和7年6月30日まで(1年延長)
期間短縮の例
変更前:令和7年12月31日まで
変更後:令和6年12月31日まで(1年短縮)
書き方の基本ポイント
1. 契約の目的を明確に記載
金銭消費貸借変更契約書
貸主(以下「甲」という)○○○○と借主(以下「乙」という)△△△△は、
令和○年○月○日付で締結した金銭消費貸借契約(以下「原契約」という)
について、下記のとおり変更することに合意した。
2. 原契約の特定
原契約を正確に特定することが重要です。
記載すべき事項
- 契約締結日
- 契約当事者
- 原契約の主要条件(金額・利率等)
- 契約書の通数・保管状況
記入例
第1条(原契約の特定)
本変更契約の対象となる原契約は以下のとおりである。
契約日:令和5年4月1日
貸付金額:金1,000,000円
利率:年15%
返済期限:令和6年3月31日
3. 変更内容の明示
変更前と変更後の条件を対比して明確に記載します。
記入例(返済方法変更)
第2条(返済方法の変更)
原契約第○条を以下のとおり変更する。
変更前:「乙は令和6年3月31日限り元利金を一括して返済する」
変更後:「乙は令和5年10月31日から令和6年9月30日まで毎月末日限り
金100,000円ずつ12回に分割して返済する」
記入例(利率変更)
第3条(利率の変更)
原契約第○条を以下のとおり変更する。
変更前:「年15%の割合による利息」
変更後:「年12%の割合による利息」
なお、変更前利率による利息は本変更契約締結日までとし、
それ以降は変更後利率を適用する。
4. 連帯保証人の責務継続
連帯保証人がいる場合は、変更契約でも責任が継続することを明記します。
記入例
第4条(連帯保証債務の継続)
連帯保証人○○○○(以下「丙」という)は、本変更契約による
変更後の債務についても、原契約と同様に連帯保証する。
5. 原契約の効力維持
変更されていない部分は原契約が有効であることを確認します。
記入例
第5条(原契約の効力)
本変更契約に定めのない事項については、原契約の規定が
引き続き効力を有する。
実務上の重要な注意点
税務上の影響
債務免除の場合
- 借主に債務免除益が発生(所得税の対象)
- 個人間では贈与税の可能性
- 法人の場合は受贈益として課税
利息減免の場合
- 経済的利益の供与として課税される可能性
- 親族間では贈与税の検討が必要
対策
- 税理士への事前相談を推奨
- 適正な対価性の確保
- 経済合理性の説明資料準備
法的効力の確保
変更契約の有効要件
- 当事者全員の合意
- 対価関係の存在(一方的な利益供与は無効の可能性)
- 公序良俗に反しないこと
- 利息制限法等の強行規定の遵守
証拠保全の重要性
- 変更の経緯を記録
- 交渉過程の資料保管
- 変更理由の客観的根拠
第三者への影響
連帯保証人
- 変更により責任が加重される場合は再同意が必要
- 責任軽減の場合でも通知が望ましい
担保権者
- 担保条件の変更は担保権者の同意が必要
- 抵当権等の登記変更手続きが必要な場合あり
具体的な変更パターンと記載例
パターン1:返済困難による条件緩和
状況:借主の収入減少により月々の返済額を減額
第2条(返済条件の変更)
原契約の返済条件を以下のとおり変更する。
変更前:
毎月末日限り 金150,000円ずつ10回分割返済
返済期間:令和5年4月末日~令和6年1月末日
変更後:
毎月末日限り 金100,000円ずつ15回分割返済
返済期間:令和5年4月末日~令和6年6月末日
第3条(遅延損害金の免除)
令和5年3月分までの遅延損害金○○円については、
甲はこれを免除する。
パターン2:期限前弁済による条件変更
状況:借主が早期完済を希望し、利息を減額
第2条(期限前弁済と利息減額)
乙は残元金800,000円を令和5年12月31日限り一括して弁済する。
この場合の利息は、変更前の年15%から年10%に減額し、
令和5年12月31日までの期間で計算する。
第3条(期限前弁済の効果)
前条の弁済により、原契約上の一切の債務は完全に消滅する。
パターン3:追加融資による条件変更
状況:既存契約に追加で融資を実行
第2条(追加融資)
甲は乙に対し、原契約による貸付金に加えて、
金500,000円を追加融資する。
第3条(変更後の契約条件)
追加融資後の契約条件は以下のとおりとする。
借入総額:金1,500,000円(原契約1,000,000円+追加500,000円)
利率:年12%(統一利率)
返済方法:毎月末日限り金125,000円ずつ12回分割返済
よくあるトラブルと対策
ケース1:一方的な変更要求
問題:借主が勝手に返済条件を変更して支払い 対策:
- 変更契約書なしの勝手な変更は無効
- 正式な変更契約の締結を要求
- 応じない場合は原契約通りの履行を求める
ケース2:変更契約後の再変更要求
問題:変更契約締結後、さらに条件変更を要求される 対策:
- 変更の合理的理由の確認
- 前回変更時の経緯との整合性チェック
- 安易な再変更は避け、慎重に判断
ケース3:連帯保証人の同意なし変更
問題:連帯保証人に通知せずに条件変更した 対策:
- 保証人の責任加重となる変更は無効の可能性
- 事後でも保証人の同意を取得
- 必要に応じて新たな保証契約を締結
ケース4:税務上の問題発生
問題:債務免除により予期しない課税が発生 対策:
- 変更前に税務影響を試算
- 税理士への相談を実施
- 必要に応じて変更内容を調整
チェックリスト
変更契約締結前
- 変更の必要性と合理性を確認したか
- 当事者全員の同意を得たか
- 税務上の影響を検討したか
- 連帯保証人への影響を確認したか
- 担保権者への影響を確認したか
- 利息制限法等の法令に適合するか
変更契約書作成時
- 原契約を正確に特定したか
- 変更内容を明確に記載したか
- 変更前後の条件を対比したか
- 原契約の効力維持を明記したか
- 連帯保証人の同意を記載したか
- 収入印紙を正しく貼付したか
変更契約締結後
- 各当事者が契約書を保有したか
- 変更内容を正確に履行しているか
- 必要な登記手続きを実施したか
- 税務申告での適切な処理を行ったか
- 関係者への通知を実施したか
印紙税の取扱い
変更契約書も印紙税の対象となります。
印紙税額の計算
金額変更の場合
- 増額:増加額に応じた印紙税
- 減額:非課税(印紙不要)
条件変更のみの場合
- 200円の印紙税(第7号文書)
記載金額の考え方
例:元金1,000万円を1,200万円に増額
→ 増加額200万円に対する印紙税4,000円
印紙税の軽減措置
電子契約の活用
- 電子契約では印紙税が不要
- コスト削減効果が大きい
- 改ざん防止機能も向上
業種別・場面別の活用例
個人間の貸借
特徴
- 返済困難時の柔軟な対応
- 家族関係への配慮
- 贈与税の注意が必要
追加条項例
第○条(変更理由の確認)
本変更は、乙の収入減少により返済が困難となったことに
基づくものであり、贈与の意思はないことを双方確認する。
事業融資の場合
特徴
- 事業状況の変化への対応
- 担保・保証の見直し
- 金融機関との調整
追加条項例
第○条(財務状況の報告)
乙は甲に対し、本変更契約締結後も四半期ごとに
財務状況を書面で報告する義務を負う。
第○条(期限前返済の権利)
甲は、乙の財務状況が著しく悪化した場合、
30日前の通知により期限前返済を求めることができる。
デジタル化対応
電子契約システムの活用
推奨サービス
- クラウドサイン:使いやすさと機能性のバランス
- DocuSign:国際的な取引にも対応
- Adobe Sign:PDF連携が強力
電子契約のメリット
- 印紙税の節約
- 遠隔地での契約締結
- 改ざん防止機能
- 検索・管理の効率化
金銭消費貸借変更契約書は、貸主・借主間の契約条件変更を法的に明確にし、双方の合意を確保するための重要な書類となっています。
テンプレート書式なので必要に応じて文章を変更してご利用ください。
ファイル形式はWord(ワード)です。
下記から選んでダウンロードしてご利用してください。
- 金銭消費貸借変更契約書01:基本型
特徴
- シンプルな条件変更に対応
- 返済方法・期限の変更が中心
- 理解しやすい構成
適用場面
- 初回の条件変更
- 単純な返済条件の変更
- 小規模な個人間取引
- 金銭消費貸借変更契約書02:詳細型
特徴
- 複数項目の同時変更に対応
- 詳細な条件設定が可能
- 法的安全性が高い
適用場面
- 複雑な条件変更
- 高額取引の変更
- 事業融資の条件変更
選択の基準
変更内容による選択
- 単項目変更:テンプレート01
- 複数項目変更:テンプレート02
取引規模による選択
- 500万円未満:テンプレート01
- 500万円以上:テンプレート02
当事者関係による選択
- 家族・友人間:テンプレート01
- 事業関係:テンプレート02