挨拶状(廃業)の書式テンプレートです。会員登録不要・無料ですぐにテンプレートをダウンロードしてご利用できます。
書き方のポイント
1. 冒頭の挨拶
- 時候の挨拶の活用: 送付時期に応じた季節感のある挨拶を選択
- 相手の繁栄への言及: 「ますますご清栄」「ご隆昌」など、相手企業の発展を祝う表現
- 日頃の感謝: 長年にわたるご支援とご愛顧に対する深い感謝の表現
- 丁寧な敬語: 廃業という重要な局面での最大限の敬意表現
2. 廃業の報告
- 明確な廃業日: 正確な営業終了日と法的な廃業手続き完了日の明記
- 廃業理由の適切な説明:
- 経営不振の場合:「諸般の事情により」等の穏やかな表現
- 後継者不在の場合:「後継者がなく」等の事実に基づく説明
- 事業譲渡の場合:「事業の譲渡に伴い」等の前向きな説明
- 創業からの歴史: 創業年と営業年数への言及
- 感情への配慮: 突然の知らせによる関係者の驚きや困惑への配慮
3. 感謝の気持ち
- 具体的な感謝内容: 一般的な感謝ではなく、具体的な支援や協力への言及
- 時系列での感謝: 創業当初から現在まての長期にわたる支援への謝意
- 関係者全体への感謝: 顧客、取引先、従業員、地域社会等への包括的な感謝
- 成果への帰属: 事業の成果や成長が支援者のおかげであることの強調
4. 今後の対応・引き継ぎ事項
- 債権債務の処理方針: 売掛金回収や買掛金支払いの処理方法
- 顧客対応の継続: アフターサービスや保証の取り扱い
- 事業譲渡先の紹介: 類似サービスを提供する他社の紹介(該当する場合)
- 従業員の処遇: 従業員の転職先や処遇に関する配慮の表明
5. 結びの言葉
- 書面での挨拶への配慮: 直接お会いできないことへのお詫び
- 最後の感謝: 改めて長年の支援への深い感謝を表明
- 相手の発展祈願: 関係者の今後の発展と成功を祈る言葉
- 人生の節目への言及: 廃業を人生の一つの区切りとして受け止める姿勢
6. 会社情報と署名
- 正式な日付: 挨拶状作成日または送付日の明記
- 会社の正式情報: 社名、所在地、代表者名の正確な記載
- 連絡先情報: 廃業手続き期間中の連絡先
- 印鑑の使用: 代表印または個人印の適切な使用
具体的な記入例
【経営不振による廃業の例】
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
弊社は昭和○年の創業以来○年間、皆様方の温かいご支援により
営業を続けてまいりましたが、諸般の事情により、
令和○年○月○日をもちまして廃業することとなりました。
長年にわたり賜りました数々のご愛顧、ご厚情に対しまして、
心より深く感謝申し上げます。
皆様には大変ご迷惑をおかけいたしますが、
何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
なお、債権債務等の処理につきましては、適切に処理いたしますので、
ご不明な点がございましたら、下記までお問い合わせください。
皆様の今後ますますのご発展とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
略儀ながら書中をもってお礼とご挨拶を申し上げます。
敬具
令和○年○月○日
○○株式会社
代表取締役 ○○ ○○
〒○○○-○○○○ ○○県○○市○○町○-○-○
TEL: ○○○-○○○○-○○○○
【後継者不在による廃業の例】
拝啓 ○○の候、皆様におかれましてはますますご健勝のこととお慶び申し上げます。
創業○年来、皆様の温かいご支援により営業してまいりました
弊社でございますが、後継者がなく、私の高齢化に伴い、
○月○日をもちまして廃業させていただくこととなりました。
これまで長きにわたり、格別のご愛顧とご支援を賜り、
誠にありがとうございました。おかげさまで、小さいながらも
○年間事業を継続することができましたことは、
私にとって大きな誇りでございます。
急なお知らせとなり、ご迷惑をおかけいたしますが、
何卒ご理解を賜りますようお願い申し上げます。
皆様の今後ますますのご発展を心よりお祈り申し上げます。
敬具
【事業譲渡による廃業の例】
拝啓 新緑の候、貴社ますますご発展のこととお慶び申し上げます。
この度、弊社の事業を○○株式会社に譲渡することとなり、
○月○日をもちまして廃業いたします。
創業以来○年間、皆様のご支援により事業を継続してまいりましたが、
より専門性の高いサービスをご提供するため、
○○株式会社への事業譲渡を決断いたしました。
譲渡先の○○株式会社は、当分野で豊富な実績を持つ優良企業であり、
皆様により良いサービスをご提供できるものと確信しております。
今後は○○株式会社が引き続きサービスをご提供いたしますので、
変わらぬご愛顧を賜りますようお願い申し上げます。
長年にわたるご支援に心より感謝申し上げます。
敬具
【避けるべき例】
廃業します。
○月○日で終わりです。
今までありがとうございました。
迷惑をかけてすみません。
※感謝の深さが伝わらない、理由説明の不足、配慮に欠ける表現
法的・実務的な留意点
法的手続きと義務
- 解散・清算手続き: 株主総会での解散決議と清算人選任
- 債権債務の整理: 債権回収と債務弁済の適切な処理
- 税務手続き: 廃業届、消費税の各種届出等の税務署への提出
- 労働関連手続き: 従業員の解雇手続きと雇用保険・社会保険の処理
関係者への対応義務
- 顧客への責任: 製品保証、アフターサービスの適切な処理
- 取引先への配慮: 契約の適切な終了と迷惑の最小化
- 従業員への配慮: 十分な事前通知と再就職支援
- 地域社会への責任: 地域経済や雇用への影響への配慮
財務・会計上の処理
- 資産の処分: 固定資産、在庫商品等の適切な処分
- 最終決算書の作成: 清算事務年度の決算書作成と提出
- 税務申告: 法人税等の最終申告書の作成と提出
使用タイミングと注意事項
適切な送付タイミング
- 廃業決定後速やかに: 正式決定後1-2週間以内の送付
- 法的手続き開始前: 解散登記前の事前告知として
- 十分な猶予期間: 関係者が対応を検討する時間を確保
廃業理由別の配慮
- 経営不振: 詳細な説明は避け、品位を保った表現
- 後継者不在: 家族経営の継承問題への理解を求める表現
- 健康問題: プライバシーに配慮した簡潔な説明
- 事業環境変化: 外的要因による廃業の場合の客観的説明
送付対象の選定
- 重要顧客: 長年の取引関係がある主要顧客
- 取引先: 仕入先、外注先、協力会社等
- 金融機関: 融資先銀行、リース会社等
- 従業員・元従業員: 現在および過去の従業員とその家族
- 地域関係者: 商工会議所、地方自治体、近隣企業
よくある失敗例と対策
- 突然の廃業告知: 十分な事前告知期間の不足
- 理由説明の不備: 廃業理由の不明確な説明による憶測
- 債務処理の曖昧さ: 今後の債権債務処理方針の不明確さ
- 従業員への配慮不足: 従業員の処遇に関する説明不足
段階別チェックリスト
廃業決定段階(3-6ヶ月前)
- 廃業決定の正式な承認(株主総会等)
- 専門家(税理士、弁護士)への相談
- 従業員への事前説明
- 主要関係者への内々の相談
告知準備段階(1-2ヶ月前)
- 挨拶状の原稿作成と校正
- 送付先リストの作成と精査
- 債権債務の整理と処理方針の決定
- 資産処分計画の策定
告知実施段階(1ヶ月前)
- 挨拶状の印刷と発送
- 重要関係者への直接説明
- 従業員への正式通知
- 取引先への個別連絡
廃業準備段階(2週間前)
- 最終在庫の処分
- 設備・備品の処分準備
- 各種契約の解約手続き
- 最終売上の確定
廃業実施段階(最終週)
- 営業最終日の適切な運営
- 関係者への最後の挨拶
- 現金出納の最終処理
- 事務所の清掃と明け渡し
事後処理段階(廃業後)
- 清算手続きの開始
- 各種届出の完了確認
- 最終的な債権債務の整理
- 清算結了の登記
注意喚起
特に注意すべきポイント
- 法的手続きの確実な実行: 必要な解散・清算手続きの確実な実施
- 債権債務の適切な処理: 関係者に迷惑をかけない責任ある処理
- 従業員の雇用への配慮: 労働法に基づく適切な解雇手続き
- 情報管理: 顧客情報や営業秘密の適切な処理
感情面への配慮
- 関係者の失望: 長年の取引関係終了による失望への理解
- 従業員の不安: 職を失う従業員の心情に対する十分な配慮
- 地域社会への影響: 地域経済や雇用への影響に対する責任感
将来への配慮
- 信用の維持: 廃業後も個人としての信用維持
- 人間関係の継続: 関係者との良好な関係の維持
- 経験の活用: 事業経験を社会に還元する意識
これらのポイントを踏まえて挨拶状を作成することで、廃業という困難な状況においても、関係者への感謝と誠意を適切に表現し、責任ある事業終了を実現することができます。
テンプレート書式なので必要に応じて文章を変更してご利用ください。ファイル形式はWord(ワード)です。
