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依頼状(領収証発行)とは
依頼状(領収証発行)とは、支払いを行った取引先に対して、税務処理や経理処理に必要な領収証の発行を正式に依頼する際に使用するビジネス文書です。適正な会計処理と税務申告のために欠かせない重要な書類であり、企業の内部統制上も重要な役割を果たします。
⚠️ 重要な注意点:令和5年10月からのインボイス制度により、領収証に求められる記載事項が変更されています。制度に対応した適切な領収証の依頼が必要です。
領収証発行依頼が必要となる場面
1. 一般的な商取引での領収証未受領
- 現金取引後の領収証未発行:店舗での購入、サービス利用等
- 振込・送金後の領収証依頼:銀行振込後の正式な領収証取得
- クレジットカード決済の領収証:カード利用明細とは別の正式領収証
2. 特殊な取引形態での領収証依頼
- 分割払い・リース契約:各回支払い分の個別領収証
- 前払い・預り金:前金支払い時の領収証
- 返金・相殺取引:複雑な取引の整理用領収証
3. 税務・会計上の要請による依頼
- インボイス制度対応:適格請求書等保存方式への対応
- 税務調査対応:調査時の証憑書類として
- 監査対応:外部監査・内部監査での証憑確認
書き方の基本ポイント
1. 宛名と日付の記載
- 相手の会社名、担当者名、文書の日付を正確に記載
- 正式な依頼文書としての体裁を整える
- 注意点:相手が個人事業主の場合は屋号と個人名の両方を確認
2. 冒頭の挨拶と感謝
- 季節の挨拶と相手の会社の繁栄を祈る言葉を添える
- 丁寧な印象を与える
- 例:「拝啓 貴社いよいよご繁栄のこととお喜び申し上げます」
3. 領収証発行の依頼内容の説明
- 具体的な入金の件に触れる
- 経理上の処理のために領収証の発行をお願いする旨を簡潔に伝える
- 相手が依頼の背景を理解しやすくする
4. 詳細内容の明記
- 商品名、価格、支払日など、必要な情報を記載
- 相手が領収証を発行する際に必要な情報を提供
- 具体的な情報により、相手がスムーズに対応可能
5. 結びの挨拶と署名
- 「取り急ぎ書面にて、お願い申し上げます」と締めくくり
- 文末には「敬具」で締める
- 依頼者の会社名、部署、担当者名を記載し、正式な依頼文書としての体裁を整える
具体的な記入例とパターン
✅ 良い例:詳細で明確な領収証依頼
令和6年3月15日付で貴社にお振込みいたしました下記代金につきまして、
経理処理上必要となりますため、領収証のご発行をお願い申し上げます。
【取引詳細】
・取引内容:システム開発業務委託料
・金額:¥1,650,000(消費税込み)
・支払日:令和6年3月15日
・振込先:○○銀行××支店 普通預金 1234567
・振込名義:株式会社△△(タナカ)
【領収証記載希望事項】
・宛名:株式会社△△
・但し書き:システム開発業務委託料として
・日付:令和6年3月15日
・適格請求書発行事業者登録番号の記載をお願いいたします
❌ 悪い例:曖昧で不完全な依頼
先日お支払いした件で領収証をお願いします。
金額等の詳細はそちらでわかると思いますので、
よろしくお願いいたします。
シーン別の記載例
現金支払い後の領収証依頼
本日、貴社店舗にて現金でお支払いいたしました下記商品代金につきまして、
領収証の発行をお忘れでございましたため、後日郵送にてお送りいただけますよう
お願い申し上げます。
・購入商品:ノートパソコン(型番:ABC-123)
・金額:¥98,780(税込)
・購入日時:令和6年3月20日 14:30頃
・店舗:○○店(△△市××町1-2-3)
・レシート番号:12345678(控えを添付いたします)
分割払いの各回領収証依頼
令和6年2月より開始いたしました分割払い契約につきまして、
各回のお支払い分の領収証発行をお願い申し上げます。
・契約内容:設備リース契約
・総額:¥2,400,000(税込)
・分割回数:24回
・月額:¥100,000(税込)
・第1回支払日:令和6年2月末日
毎月末日のお支払い後、翌月10日頃までに郵送にて
領収証をお送りいただけますよう、お願い申し上げます。
前払金の領収証依頼
令和6年4月開始予定の業務委託契約に関する前払金として
お振込みいたしました下記金額につきまして、領収証の
ご発行をお願い申し上げます。
・契約内容:マーケティング業務委託
・前払金額:¥550,000(税込)
・支払日:令和6年3月25日
・但し書き:業務委託前払金として
・備考:本契約開始時に前払金を相殺予定
法的・税務上の留意点
インボイス制度(適格請求書等保存方式)への対応
令和5年10月1日から開始された制度により、以下の記載が必要:
適格請求書(インボイス)として有効な領収証の記載事項
- 適格請求書発行事業者の氏名又は名称及び登録番号
- 取引年月日
- 取引内容(軽減税率の対象品目である旨)
- 税率ごとに区分して合計した対価の額(税抜き又は税込み)及び適用税率
- 消費税額等
- 書類の交付を受ける事業者の氏名又は名称
依頼時の注意事項
- 相手方が適格請求書発行事業者かどうかの事前確認
- 登録番号(T+13桁)の記載依頼
- 軽減税率対象品目がある場合の税率区分記載依頼
消費税法上の取り扱い
- 3万円未満の取引:簡易な記載事項でも可(ただしインボイス制度下では制限あり)
- 3万円以上の取引:詳細な記載事項が必要
- 帳簿保存義務:領収証と合わせて適切な帳簿記載が必要
法人税法・所得税法上の取り扱い
- 必要経費・損金算入の要件:取引の事実関係を明確に示す証憑書類
- 保存期間:法人7年、個人5年(青色申告の場合)
- 電子保存:電子帳簿保存法に準拠した電子保存も可能
印紙税の取り扱い
- 領収証の印紙税:5万円以上の金銭受取書には印紙税が課税
- 電子領収証:電子的に発行された領収証は印紙税非課税
- 分割記載:印紙税を意図的に免れる分割記載は無効
使用タイミングと注意事項
適切な使用タイミング
- 支払い完了直後:支払い事実が明確な時点での依頼
- 月末・期末処理前:会計締切に間に合うタイミング
- 税務申告準備時:申告書作成に必要な証憑整理時
- 監査準備時:外部監査や税務調査の準備段階
使用を避けるべき状況
- 支払い事実が不明確な場合:振込エラー、取引中止等の状況
- 二重発行のリスクがある場合:既に領収証を受領している可能性
- 相手方との関係が悪化している場合:トラブル中の取引先への依頼
よくある失敗例と対策
失敗例1:記載事項の不備
問題点:宛名が「上様」、但し書きが「品代として」等の不適切な記載 対策:正確な会社名、具体的な取引内容を明記 税務リスク:税務調査で経費性を否認される可能性
失敗例2:インボイス制度対応不備
問題点:相手方が適格請求書発行事業者でないのに登録番号を要求 対策:事前に国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで確認 影響:仕入税額控除が受けられない
失敗例3:タイミングの問題
問題点:期末後に前期分の領収証を依頼 対策:会計期間を意識した適切なタイミングでの依頼 会計問題:適切な期間損益計算ができない
トラブル防止のためのチェックポイント
送付前の確認事項
- 支払い事実の確認(振込受付書、レシート等の証憑確認)
- 相手方の正確な会社名・担当者名の確認
- 金額・日付・取引内容の正確性確認
- インボイス制度対応の必要性確認
- 既存領収証の有無確認(二重発行防止)
- 社内承認手続きの完了確認
領収証受領後の確認事項
- 記載内容の正確性確認
- インボイス要件の充足確認
- 印紙の貼付確認(必要な場合)
- 適切な保管・ファイリング
- 会計システムへの適切な入力
よくある質問と回答
Q1: 電子領収証でも正式な領収証として認められますか?
A: はい、電子帳簿保存法の要件を満たせば正式な領収証として認められます。ただし、真正性確保措置(電子署名やタイムスタンプ)が必要な場合があります。
Q2: 領収証に印紙が貼られていない場合はどうすればよいですか?
A: 5万円以上の金銭受取書には印紙税が課税されますが、これは発行者の義務です。受取側には影響ありませんが、正確性の観点から相手方に確認することをお勧めします。
Q3: 「上様」宛ての領収証は使用できますか?
A: 税務上は認められる場合もありますが、内部統制や監査の観点から正確な宛名での発行を依頼することをお勧めします。
Q4: 領収証を紛失した場合はどうすればよいですか?
A: 再発行を依頼するか、支払いを証明する他の書類(振込受付書、クレジットカード明細等)で代替できる場合があります。税理士に相談することをお勧めします。
まとめ
依頼状(領収証発行)は、適正な税務処理と会計処理のために欠かせない重要な文書です。特にインボイス制度の導入により、領収証に求められる要件が厳格化されているため、制度に対応した適切な依頼が必要です。
正確な情報提供と丁寧な依頼により、相手方からスムーズに適切な領収証を受領し、税務リスクを回避することができます。本テンプレートを基に、自社の状況と取引内容に応じてカスタマイズし、適切な経理処理に活用してください。
⚠️ 最終確認事項
- インボイス制度への対応状況の確認
- 相手方が適格請求書発行事業者かどうかの確認
- 記載内容が取引事実と一致していることの確認
以上のポイントを押さえた依頼状を作成することで、領収証発行のお願いが丁寧に伝わり、相手に対する配慮と協力の依頼がしっかりと伝わる文書になります。
テンプレート書式なので必要に応じて文章を変更してご利用ください。
ファイル形式はWord(ワード)です。