依頼状(販路拡大のための新規取引)の書式テンプレートです。会員登録不要・無料ですぐにテンプレートをダウンロードしてご利用できます。
新規取引依頼状とは
新規取引依頼状は、これまで取引のなかった企業に対して、新たに取引を開始したい旨を正式に申し入れるビジネス文書です。単なる営業活動とは異なり、企業間の正式な取引開始を依頼する重要な文書であり、相手企業の与信審査や社内決裁の基礎資料となります。
書き方の基本ポイント
1. 宛名と日付の記載
- 会社名: 正式名称を使用(株式会社を(株)と略さない)
- 部署名: 購買部、仕入部など、取引に関わる部署を特定
- 役職・氏名: 可能な限り決裁権者宛てに送付
- 日付: 西暦または和暦で統一(令和○年○月○日)
- 注意: 「御中」と「様」の併用は避ける(会社名には「御中」、個人名には「様」)
2. 冒頭の挨拶と感謝
適切な時候の挨拶例:
- 春(3-5月): 「春暖の候」「新緑の候」
- 夏(6-8月): 「盛夏の候」「残暑の候」
- 秋(9-11月): 「秋涼の候」「晩秋の候」
- 冬(12-2月): 「厳寒の候」「早春の候」
- 通年使用可: 「時下」「平素は」
3. 新規取引依頼の背景と具体的な内容
必須記載事項:
- 自社の事業内容と強み
- 新規取引を希望する理由
- 提供可能な商品・サービスの概要
- 想定する取引条件(概略)
- 紹介者がいる場合はその旨を明記
4. 取引開始のお願いと同封資料の案内
同封すべき資料:
- 会社案内・企業概要
- 商品カタログ・サービス案内
- 取引実績一覧(主要取引先)
- 財務諸表の要約(必要に応じて)
- 許認可証の写し(該当業種の場合)
5. 結びの挨拶と署名
- 「ご検討のほど、何卒よろしくお願い申し上げます」
- 「略儀ながら書中をもってお願い申し上げます」
- 署名部分には会社名、部署、役職、氏名、連絡先を明記
具体的な記入例
良い例(製造業の場合):
令和6年3月20日
株式会社○○商事
購買部長 山田太郎 様
株式会社△△製作所
営業部長 鈴木一郎
新規お取引のお願い
拝啓 春暖の候、貴社ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
突然のお手紙にて失礼いたします。
弊社は、精密部品の製造を専門とし、創業以来50年にわたり品質第一を
モットーに事業を展開してまいりました。
この度、弊社では販路拡大の一環として、新たな取引先の開拓を進めており、
業界でも高い評価をいただいている貴社とのお取引を強く希望しております。
先般、貴社の佐藤様より弊社製品についてご評価をいただき、
この機会にぜひ正式なお取引をお願いしたく、ご連絡差し上げた次第です。
つきましては、別添の会社案内および製品カタログをご高覧いただき、
お取引の可能性についてご検討いただければ幸いです。
なお、弊社の信用状況につきましては、お取引先の○○銀行△△支店
(担当:田中、TEL:03-1234-5678)にご照会いただければと存じます。
ご多忙中誠に恐縮ですが、何卒ご検討のほどよろしくお願い申し上げます。
まずは略儀ながら書中をもってお願い申し上げます。
敬具
〒100-0001 東京都千代田区○○1-2-3
TEL:03-9876-5432 FAX:03-9876-5433
Email:suzuki@example.com
悪い例(避けるべき表現):
- 「ぜひともお取引ください」(押し付けがましい)
- 「他社より安くします」(品質への不安を招く)
- 「至急ご返答ください」(相手の都合を無視)
- 具体性のない抽象的な表現の多用
法的・実務的な留意点
1. 信用調査への対応
- 帝国データバンクや東京商工リサーチへの登録状況を確認
- 取引銀行への照会許可(事前に銀行担当者に連絡)
- 必要に応じて保証人や担保の準備
2. 反社会的勢力の排除
- 反社チェックの実施と記録保管
- 暴力団排除条項への同意準備
- コンプライアンス体制の整備
3. 個人情報保護
- 取得した担当者情報の適切な管理
- プライバシーポリシーの遵守
- 目的外使用の禁止
使用タイミングと注意事項
適切なタイミング
- 展示会や商談会での名刺交換後1週間以内
- 紹介を受けた場合は2週間以内
- 相手企業の新年度開始前(予算確保のため)
不適切なタイミング
- 相手企業の決算期末
- 年末年始や大型連休前
- 業界の繁忙期
よくある失敗例と対策
- 失敗: 担当部署を調べずに送付 対策: 事前に電話で担当部署と担当者名を確認
- 失敗: 自社の優位性ばかりを強調 対策: 相手企業にとってのメリットを中心に記載
- 失敗: フォローアップの欠如 対策: 1-2週間後に電話で到着確認と面談依頼
カスタマイズのヒント
業種別の調整ポイント
製造業向け:
- 品質管理体制(ISO認証等)を強調
- 生産能力と納期対応力を明記
- 技術力や特許情報を添付
卸売・小売業向け:
- 物流体制と在庫管理能力を説明
- 販売支援体制を具体的に提示
- マージン率の目安を提示(可能な範囲で)
サービス業向け:
- 過去の実績と顧客満足度を数値化
- サービス提供体制と人員配置を説明
- SLA(サービスレベル契約)の提案
デジタル化対応
- メールでの送付時はPDF化(改ざん防止)
- 電子署名サービスの活用
- CRMシステムでの送付履歴管理
- QRコードによる詳細資料へのアクセス提供
実践的なアドバイス
成功率を高めるチェックリスト
- 相手企業の事業内容を十分に調査したか
- 担当部署と担当者名は正確か
- 自社の強みは相手のニーズに合致しているか
- 取引条件は業界標準から逸脱していないか
- 信用情報の開示準備は整っているか
- 紹介者への事前連絡は済んでいるか
- フォローアップの計画は立てているか
送付方法のベストプラクティス
- 郵送の場合
- 角2封筒使用(折らずに送付)
- 「親展」「重要書類在中」の明記
- 配達証明または書留郵便の利用
- メールの場合
- 件名を明確に(例:【新規お取引のご相談】株式会社△△製作所)
- PDF添付とパスワード別送
- 開封確認機能の活用
- 併用の推奨
- 正式文書は郵送
- 事前連絡はメール
- 緊急時は電話フォロー
トラブル防止のための注意点
- 情報の正確性
- 誇大広告にならない表現
- 実績数値の根拠明示
- 第三者評価の適切な引用
- 法令遵守
- 独占禁止法への配慮
- 不正競争防止法の遵守
- 業界特有の規制への対応
- 社内承認
- 営業責任者の事前承認
- 法務部門のチェック(大型案件)
- 与信管理部門との連携
まとめ
新規取引依頼状は、新たなビジネスパートナーシップを構築する第一歩となる重要な文書です。相手企業の立場に立って、必要な情報を過不足なく提供し、信頼関係構築の基礎を作ることが成功の鍵となります。形式的な体裁を整えることも大切ですが、それ以上に相手企業にとってのメリットを明確に伝えることが重要です。
以上のポイントを押さえた依頼状を作成することで、販路拡大に伴う新規取引のお願いが丁寧に伝わり、相手に対する信頼と協力の依頼がしっかりと伝わる文書になります。
テンプレート書式なので必要に応じて文章を変更してご利用ください。
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- 依頼状(販路拡大のための新規取引)01
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