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セミナー講師依頼状とは
セミナー講師依頼状は、企業研修、業界セミナー、勉強会などで講演を依頼する際の正式な文書です。単なる出演交渉ではなく、講師の専門性を評価し、参加者への価値提供を共に実現するパートナーシップの申し入れです。謝礼や条件面の提示も含む重要なビジネス文書であり、講師の意思決定に必要な情報を過不足なく提供する必要があります。
書き方の基本ポイント
1. 宛名と日付の記載
- 個人講師の場合: 肩書き+氏名+「様」(例:○○大学教授 山田太郎 様)
- 企業所属の場合: 会社名+部署+役職+氏名+「様」
- 日付: セミナー開催の最低2-3か月前に送付
- 注意: 著名人の場合は所属事務所宛ての場合もある
2. 冒頭の挨拶と感謝
- 講師の専門分野での活躍への敬意を表す
- 「○○分野でのご活躍、心より敬服いたしております」
- 「貴重な知見をご教示いただければ幸いです」
- 時候の挨拶は簡潔に
3. 講師依頼の背景と目的の説明
必須記載事項:
- セミナーの開催目的
- 参加対象者(役職、人数、業種など)
- なぜその講師に依頼するのか(実績、専門性)
- 期待する効果・ゴール
4. 具体的なセミナー内容と日程の提示
詳細情報の明記:
- 日時(開始・終了時刻、拘束時間)
- 会場(アクセス情報含む)
- 講演テーマ(仮題でも可)
- 講演時間(質疑応答含む)
- その他のプログラム
5. 条件面の提示
- 講師料(源泉徴収の有無)
- 交通費・宿泊費の取り扱い
- 著作権・録画録音の可否
- 配布資料の取り扱い
6. 結びの挨拶と署名
- 「ご多用中恐れ入りますが、ご検討のほどお願い申し上げます」
- 回答期限の明記(2週間程度)
- 担当者の連絡先を複数記載
具体的な記入例
良い例(企業研修の場合):
令和6年5月10日
○○コンサルティング株式会社
代表取締役 山田太郎 様
株式会社△△商事
人事部 研修企画課
課長 鈴木花子
令和6年度 管理職研修における講師ご依頼の件
拝啓 新緑の候、ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。
山田様におかれましては、人材育成分野における第一人者として
ご活躍されており、特に著書「リーダーシップの本質」は
弊社管理職の必読書となっております。
さて、この度弊社では、次世代リーダー育成を目的とした
管理職研修を下記の通り開催する運びとなりました。
つきましては、山田様に基調講演をお願いしたく、
ご依頼申し上げる次第でございます。
記
【研修概要】
1. 日時:令和6年7月15日(月)13:00~17:00
(ご講演時間:14:00~15:30/90分間)
2. 会場:△△商事本社ビル 12階大会議室
東京都千代田区○○1-2-3
(JR東京駅より徒歩5分)
3. 対象:課長職以上の管理職 約80名
(製造業・30代後半~50代前半中心)
4. テーマ案:「変革期における組織マネジメント」
※詳細はご相談の上、決定させていただければ幸いです
5. 研修の目的:
- DX推進に向けた意識改革
- 部下のモチベーション向上手法の習得
- 組織変革のリーダーシップ醸成
【ご依頼条件】
1. 講師料:20万円(税込・源泉徴収前)
※弊社規定により、源泉徴収させていただきます
2. 交通費:実費精算(新幹線グリーン車可)
3. その他:
- 講演資料の事前提供をお願いいたします(1週間前目安)
- 録画はご遠慮いただきますが、要点メモの配布は可能です
- 質疑応答(15分程度)にもご対応をお願いいたします
誠に恐れ入りますが、5月24日(金)までに
ご都合をお聞かせいただければ幸いです。
なお、ご不明な点がございましたら、下記担当まで
お気軽にお問い合わせください。
ご多用中とは存じますが、何卒ご検討のほど
よろしくお願い申し上げます。
敬具
【本件担当】
株式会社△△商事 人事部研修企画課
鈴木花子
TEL:03-1234-5678(直通)
FAX:03-1234-5680
Email:suzuki-hanako@△△shoji.co.jp
悪い例(避けるべき表現):
- 「有名な先生なので」(曖昧な評価)
- 「予算は相談で」(条件が不明確)
- 「詳細は後日」(準備不足の印象)
- 「ついでに懇親会も」(本題とは別に依頼)
法的・実務的な留意点
1. 講師料に関する税務処理
- 源泉徴収税率:10.21%(100万円以下の場合)
- 支払調書の発行義務(年間5万円超)
- マイナンバーの取得(個人講師の場合)
- 請求書の必要項目確認
2. 著作権・知的財産権
- 講演内容の録画・録音許諾
- 配布資料の二次利用許可
- 講演内容の記事化・出版許可
- 写真撮影・SNS投稿の可否
3. 契約関連
- 講師依頼書と承諾書のセット
- キャンセルポリシーの明確化
- 不可抗力条項(天災、交通機関など)
- 機密保持条項(企業研修の場合)
4. 保険・リスク管理
- イベント保険の加入検討
- 講師の移動中の事故対応
- 会場でのケガ・病気対応
- 代替講師の準備
使用タイミングと注意事項
最適な依頼時期
- 3-6か月前: 著名講師、人気講師
- 2-3か月前: 一般的な講師
- 1か月前: 社内講師、身近な専門家
- 年間計画: 定期開催セミナー
講師タイプ別の注意点
大学教授・研究者:
- 学会シーズンを避ける(春・秋)
- 謝礼規程の事前確認(公務員規定)
- 所属機関への届出の必要性
企業経営者・役員:
- 決算期、株主総会時期を避ける
- 秘書を通じての連絡
- 企業間の競合関係に配慮
コンサルタント・専門家:
- 繁忙期の確認(年度末など)
- 競合他社での講演実績確認
- 専門分野の正確な理解
タレント・著名人:
- 所属事務所を通じて依頼
- メディア露出との調整
- 特殊な要望への対応
カスタマイズのヒント
セミナー形式別の調整
基調講演タイプ:
- 格調高い依頼文
- 講師の権威性を強調
- VIP待遇の明記
ワークショップタイプ:
- 参加型であることを明確に
- 必要な設備・機材の確認
- 事前準備への協力依頼
パネルディスカッション:
- 他の登壇者情報の提供
- モデレーターとの事前打合せ
- 議論のテーマと流れ
オンラインセミナー:
- 使用プラットフォームの明記
- 技術サポート体制の説明
- 録画・アーカイブの取り扱い
業界別の配慮事項
金融業界:
- コンプライアンス確認
- 利益相反の回避
- 金融商品取引法への配慮
医療・製薬業界:
- 倫理規程の遵守
- 利益供与にあたらない配慮
- プロモーションコードの確認
IT業界:
- 最新技術トレンドの反映
- デモンストレーションの可否
- NDA(秘密保持契約)の必要性
実践的なアドバイス
依頼成功率を高めるチェックリスト
- 講師の専門分野と依頼内容は合致しているか
- 日程は講師の都合を考慮しているか
- 謝礼は相場に照らして適切か
- 参加者の属性は明確に伝えているか
- 講師にとってのメリットはあるか
- 運営体制は整っているか
- リスク対策は準備されているか
講師との関係構築
- 事前リサーチ
- 最新の著書・論文の確認
- 最近の講演実績
- 専門分野の動向把握
- きめ細かいフォロー
- 承諾後の御礼連絡
- 定期的な進捗共有
- 当日の段取り確認
- 当日の対応
- 控室の準備
- 担当者の常時対応
- 謝礼の迅速な支払い
- 事後フォロー
- 参加者アンケート結果の共有
- 次回依頼への布石
- 継続的な情報交換
デジタル時代の工夫
オンライン・ハイブリッド対応
- 配信方法の選択肢提供
- 技術的なサポート体制
- アーカイブ視聴の可否
- インタラクティブ機能の活用
効果的な集客支援
- SNSでの告知協力依頼
- 講師の写真・動画素材提供
- PR文章の作成依頼
- メディア取材の調整
トラブル防止のための注意点
- 日程変更・キャンセル対策
- 明確なキャンセルポリシー
- 代替日程の事前確認
- 不可抗力条項の設定
- 講演内容のすり合わせ
- 事前の内容確認
- 禁止事項の明確化
- 参加者層とのマッチング
- 当日のリスク管理
- 緊急連絡体制
- 機材トラブル対応
- 時間管理の徹底
まとめ
セミナー講師依頼状は、講師との良好な関係構築の第一歩となる重要な文書です。講師の専門性への敬意を示しながら、セミナーの目的や参加者のニーズを明確に伝え、双方にとって価値ある機会となるよう配慮することが成功の鍵です。形式的な体裁を整えるだけでなく、講師が安心して引き受けられる環境を整えることが大切です。
以上のポイントを押さえた依頼状を作成することで、セミナー講師依頼が丁寧に伝わり、相手に対する敬意と協力のお願いがしっかりと伝わる文書になります。
テンプレート書式なので必要に応じて文章を変更してご利用ください。
ファイル形式はWord(ワード)です。