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クレーム処理調査報告書とは
クレーム処理調査報告書は、顧客からのクレームに対して詳細な調査を実施し、その結果と対応策を体系的にまとめた重要な文書です。クレーム受付表やクレーム社内報告書と連携することで、問題の全容把握から解決・再発防止まで一貫した対応が可能になります。
調査報告書の主な目的
- 実態や実情の正確な把握:客観的事実に基づく現状分析
- 原因の特定と分析:根本原因の究明と影響範囲の把握
- 改善策の提案:具体的で実行可能な対策の策定
- 再発防止:同様の問題の予防策確立
重要原則:客観的に記載し、事実・推測・意見を明確に分けて記載する必要があります。正確さが何よりも優先されます。
書き方の基本ポイント
1. 報告書の表題と基本情報の記載
必須記載事項
- 報告書タイトル:「クレーム処理調査報告書」と明確に記載
- 調査報告書番号:管理番号(例:CR-2024-0716-001)
- 調査期間:調査開始日から完了日まで
- 調査責任者:調査を統括した責任者名・部署・連絡先
- 関連文書番号:クレーム受付表・社内報告書の管理番号
文書管理情報
- 作成日:報告書作成日
- 承認者:上位管理者による承認
- 配布先:報告書の配布対象部署・役職者
- 機密区分:社外秘・部門限定等の情報管理レベル
2. クレームの概要記載
基本情報
- クレーム発生日時:具体的な日時(年月日・時刻)
- クレーム申立者:顧客名・連絡先・顧客コード
- 受付方法:電話・メール・来店・SNS等
- 緊急度・重要度:A(緊急)・B(重要)・C(通常)等の分類
関連情報
- 関連商品・サービス:製品名・型番・購入日・保証期間
- 取引履歴:過去の購入履歴・サービス利用状況
- 類似事例:同種のクレーム発生状況
3. 経過と状況の詳細説明
時系列での経過記録
【調査経過例】
7/15 14:30 - クレーム受付
7/15 15:00 - 初期調査開始(担当:A課長)
7/15 17:00 - 関係部署ヒアリング実施
7/16 09:00 - 現場確認・証拠収集
7/16 14:00 - 技術部門との合同調査
7/17 10:00 - 外部専門機関への分析依頼
7/18 15:00 - 分析結果受領・検証
7/19 11:00 - 調査結果まとめ・報告書作成
現状況の把握
- 問題の現状:解決済み・対応中・調査中等の状況
- 顧客の反応:満足度・継続的な懸念・追加要求
- 社内への影響:業務への支障・他部署への影響
4. 原因の特定と分析
根本原因分析(RCA:Root Cause Analysis)
- 直接原因:問題を直接引き起こした要因
- 間接原因:直接原因を生じさせた背景要因
- システム的要因:組織・プロセス・仕組みの問題
原因分析手法の活用
【フィッシュボーン分析例】
人的要因:
- 担当者の知識不足
- 研修体制の不備
- 作業手順の未徹底
設備・システム要因:
- 機器の老朽化
- システムの不具合
- メンテナンス不足
方法・プロセス要因:
- 作業手順の不備
- チェック体制の欠如
- 情報共有の不足
5. 損失と影響の記載
直接的損失
- 金銭的損失:返金・交換費用・人件費
- 時間的損失:対応工数・機会損失
- 物的損失:廃棄商品・修理費用
間接的影響
- 信頼性への影響:ブランドイメージ・顧客信頼度
- 業務への影響:他業務への支障・生産性低下
- 将来への影響:顧客離れ・売上減少リスク
6. 対策の提案
即効性対策(短期)
- 緊急対応:即座に実施すべき措置
- 暫定対策:問題の拡大防止策
- 顧客対応:謝罪・補償・フォローアップ
根本的対策(中長期)
- システム改善:プロセス・仕組みの見直し
- 人材育成:研修・教育体制の強化
- 品質向上:品質管理体制の改善
実施計画
- 責任者:各対策の実施責任者
- 実施期限:具体的なスケジュール
- 予算:必要な費用と予算措置
- 成果指標:効果測定のKPI
7. 調査者の意見と提言
客観的分析に基づく意見
- 問題の重要度評価:組織への影響度
- 対策の優先順位:実施すべき順序
- リスク評価:放置した場合のリスク
今後の改善提言
- 予防策:再発防止のための仕組み
- 監視体制:継続的なモニタリング方法
- 組織改善:体制・文化の改善提案
具体的な記入例
良い記入例(要約版)
【調査報告書】
報告書番号:CR-2024-0716-001
調査期間:2024年7月15日~7月19日
調査責任者:品質管理部 田中部長
【クレーム概要】
発生日時:2024年7月15日 14:30
申立者:山田太郎様(顧客コード:C001234)
内容:購入した電子機器の電源が入らない不具合
【調査結果】
原因:製造工程での配線接続不良(ロット:ABC-789)
影響範囲:同ロット製品500台(うち出荷済み200台)
損失:直接費用120万円、間接費用推定300万円
【対策】
即効性対策:
- 該当ロット製品の即時回収(7/20完了予定)
- 顧客への無償交換対応(7/25完了予定)
根本的対策:
- 製造工程検査体制の見直し(8/31完了予定)
- 品質管理システムの改善(9/30完了予定)
悪い記入例
【調査報告書】
製品が壊れていた。
原因は不明。
交換で対応する。
法的・実務的な留意点
法的証拠としての価値
- 製造物責任法(PL法):製品の欠陥による損害賠償
- 消費者契約法:不当な契約条項の無効化
- 消費者安全法:重大事故の報告義務
文書管理上の注意事項
- 保管期間:最低5年間(業界により異なる)
- 機密保持:顧客情報・企業秘密の保護
- 証拠保全:関連資料の適切な保管
報告義務
- 重大事故:消費者庁への報告義務
- リコール:経済産業省への報告
- 食品関連:保健所への報告
使用タイミングと注意事項
調査報告書が必要なケース
- 重大なクレーム:安全性・品質に関わる問題
- 複数件発生:同種のクレームが複数発生
- 法的リスク:訴訟リスクが想定される場合
- システム的問題:組織・プロセスの問題が疑われる場合
調査実施時の注意点
- 証拠保全:物的証拠の適切な保管
- 中立性確保:公平・客観的な調査実施
- 専門性確保:必要に応じて外部専門家の活用
- 時間管理:迅速な調査と正確性のバランス
実践的なアドバイス
効果的な調査手法
- 5W1H分析:Who, What, When, Where, Why, How
- 現地現物主義:現場での事実確認
- 多角的視点:複数の関係者からのヒアリング
- データに基づく分析:客観的データの活用
調査チームの編成
- 調査責任者:全体統括・意思決定
- 技術専門家:原因の技術的分析
- 法務担当者:法的リスクの評価
- 品質管理者:品質システムの評価
報告書作成のチェックリスト
- 事実と推測が明確に区別されているか
- 根本原因が特定されているか
- 対策は具体的で実行可能か
- 責任者と期限が明確か
- 関連法令への準拠は確認済みか
- 顧客への配慮は十分か
- 再発防止策は包括的か
- 承認プロセスは完了しているか
以上のポイントを押さえた報告書を作成することで、クレーム処理の状況が詳細かつ明確に伝わり、社内での適切な対応と再発防止策の策定に貢献することができます。
テンプレート書式なので必要に応じて文章を変更してご利用ください。
ファイル形式はWord(ワード)です。