お客様や取引先に対して、注文品が未着・紛失した場合に謝罪の意を表す重要なビジネス文書です。迅速かつ適切な対応により信頼関係の回復を図り、物流トラブルによる影響を最小限に抑えることができます。会員登録不要・無料ですぐにテンプレートをダウンロードしてご利用できます。
書き方の基本ポイント
必須記載事項
- 未着の具体的状況:商品名、発送日、配送業者、追跡番号を詳細に記載
- 未着の原因:判明している範囲での原因(配送事故、誤配、システム障害等)
- 現在の調査状況:配送業者との連携状況、調査の進捗
- 代替対応策:再発送、代替品提供、返金等の具体的な解決策
- 到着予定:確実性の高い新しい到着予定日時
- 緊急連絡体制:専用窓口や担当者の直通連絡先
未着原因別の対応方針
配送事故・紛失の場合
- 配送業者の事故証明書の取得
- 保険適用の可能性と手続き
- 再製造・再調達の必要性確認
誤配送の場合
- 正しい配送先の確認と回収手配
- 個人情報保護の観点での対応
- 配送業者との責任分担確認
システム障害の場合
- 障害の範囲と影響の説明
- データ復旧状況の報告
- 予防策の実施状況
自然災害・交通障害の場合
- 不可抗力としての説明
- 代替ルートでの配送検討
- 被害状況と復旧見込み
敬語・謙譲語の段階的使い分け
軽微な未着(1-2日程度)
- 「お届けが遅れており、申し訳ございません」
- 「ご心配をおかけして恐縮です」
深刻な未着(1週間以上)
- 「お約束の期日にお届けできず、深くお詫び申し上げます」
- 「多大なるご迷惑をおかけし、心よりお詫び申し上げます」
重大な影響を与える未着
- 「貴社の業務に重大な支障をきたし、深甚なるお詫びを申し上げます」
- 「この度の不始末により、ご信頼を損ねましたこと、衷心よりお詫び申し上げます」
具体的な記入例
良い例(配送事故による未着)
件名:【緊急】ご注文商品未着に関するお詫びとご報告
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、貴社にてご注文いただきました商品につきまして、
配送予定日を過ぎてもお手元に届いていないとのご指摘を
いただき、急遽調査いたしましたところ、下記の状況が
判明いたしました。
【未着商品詳細】
・商品名:業務用プリンター HP-2500
・注文番号:ABC-2025-0150
・発送日:令和7年7月10日
・配送業者:○○運輸株式会社
・追跡番号:1234-5678-9012
・配送予定日:令和7年7月12日
【未着原因】
配送途中において、配送車両の交通事故により
荷物の一部が散乱し、弊社商品も破損・紛失したことが
○○運輸より報告されました。
事故証明書は7月14日に取得済みでございます。
【対応状況】
1. 同等品の緊急手配(在庫確認済み)
2. 7月16日午前中の緊急配送を手配
3. 配送状況の1時間おきの確認体制を構築
4. 配送業者の事故保険による補償手続きを開始
【今回の特別対応】
・配送料の全額弊社負担
・お急ぎ便での無料配送
・設置・設定サービスの無料提供
【再発防止策】
1. 複数配送業者での冗長配送体制の構築
2. 追跡システムのリアルタイム監視強化
3. 緊急時の代替配送ルート確保
この度は、貴社の業務に多大なるご迷惑をおかけし、
誠に申し訳ございませんでした。
明日の午前中には確実にお届けできますよう、
責任をもって対応いたします。
今後このようなことがないよう、
より一層の管理体制強化に努めてまいります。
何卒ご理解とご容赦を賜りますよう、
お願い申し上げます。
【緊急連絡先】
営業部 田中(直通:090-1234-5678)
24時間対応いたします。
敬具
悪い例
商品が届いていないとのことですが、
配送業者のミスです。
すぐに新しいものを送ります。
原因別の記入例
システム障害による未着
【未着原因】
弊社物流システムにおいて、7月12日午後2時頃から
約6時間にわたるシステム障害が発生し、
出荷指示データの一部が消失したため
【システム復旧状況】
・7月12日午後8時:システム完全復旧
・7月13日午前中:データ復旧・整合性確認完了
・7月13日午後:再出荷手続き完了
自然災害による未着
【未着原因】
7月10日の記録的豪雨により、配送センターが浸水し、
保管中の商品の一部が水損したため
(気象庁発表:50年に一度の記録的豪雨)
【対応状況】
・被害状況の全容把握:7月12日完了
・代替商品の確保:7月13日完了
・災害保険適用手続き:申請済み
法的・実務的な留意点
法的責任と保険適用
運送契約上の責任
- 配送業者の運送約款に基づく責任範囲
- 運送保険の適用条件と補償範囲
- 発送人(自社)の梱包・表示責任
売買契約上の責任
- 危険負担の移転時期(出荷時点 vs 到着時点)
- 不可抗力免責条項の適用可能性
- 損害賠償の範囲と制限
製造物責任との関係
- 商品の品質に関わる責任と配送責任の区分
- PL保険と運送保険の適用関係
- 消費者保護法との整合性
個人情報保護への配慮
誤配送の場合の対応
- 配送先情報の確認範囲の制限
- 第三者への情報開示の禁止
- 回収時の本人確認手続き
調査過程での情報管理
- 配送業者との情報共有範囲
- 追跡情報の取り扱い
- 顧客情報の保護措置
保管期間と証拠保全
関連書類の保管
- 発送伝票・受領書:3年間
- 事故証明書・保険書類:5年間
- 顧客とのやり取り記録:3年間
電子データの保全
- 追跡システムログの保存
- メール・チャットでのやり取り保存
- システム障害ログの保管
使用タイミングと注意事項
緊急度別の対応タイムライン
🚨 最優先(2時間以内)
- 医療機器・医薬品等の緊急性の高い商品
- 冷凍・冷蔵商品の品質劣化リスクがある場合
- 顧客の重要イベント(展示会、プレゼン等)に関わる商品
- 高額商品(100万円以上)の未着
⚠️ 高優先(6時間以内)
- 日用品・消耗品で顧客業務に直接影響する商品
- 代替困難な特注品・専用品
- 継続取引の重要顧客からの商品
📋 通常(24時間以内)
- 一般商品で代替可能なもの
- 新規顧客や小規模取引
- 配送遅延の可能性が高い地域・時期
発送前の必須確認事項
配送前チェック
□ 配送先住所の正確性確認(郵便番号、建物名、部屋番号)
□ 受取可能時間帯の確認
□ 配送業者の選定(商品特性、距離、信頼性)
□ 追跡番号の発番と顧客への通知
□ 保険加入の有無と補償内容確認
システム管理
□ 在庫管理システムとの連携確認
□ 出荷指示データの正確性
□ 自動追跡通知システムの動作確認
□ バックアップシステムの稼働状況
よくある失敗例と対策
失敗例1:責任逃れと受け取られる表現
- 問題表現:「配送業者のミスです」
- 改善表現:「配送過程での事故により」
- 対策:自社の選任責任も含めて謝罪
失敗例2:曖昧な到着予定の提示
- 問題表現:「できるだけ早く」「近日中に」
- 改善表現:「○月○日午前中」「48時間以内」
- 対策:確実に履行できる具体的な日時のみ回答
失敗例3:代替案の提示不足
- 問題:再発送のみの対応
- 改善:代替品、部分納品、一時代用品の提案
- 対策:顧客の緊急度に応じた多様な解決策準備
失敗例4:フォロー体制の不備
- 問題:一度の謝罪で終了
- 改善:定期的な進捗報告と到着確認
- 対策:専任担当者による継続フォロー
カスタマイズのヒント
商品特性別の調整ポイント
精密機器・IT機器
- 配送時の衝撃・振動リスクへの言及
- データ消去・初期化の必要性確認
- 技術サポート体制の強化
食品・化粧品等
- 消費期限・使用期限への影響
- 温度管理の重要性
- 代替品の品質保証
書籍・印刷物
- 発売日・納期への影響
- 在庫状況と再版予定
- 電子版での代替提供
衣料品・ファッション商品
- サイズ・色の在庫状況
- 季節性・流行性への配慮
- 返品・交換条件の柔軟化
顧客属性別の配慮
法人顧客(BtoB)
- 業務への影響度の具体的把握
- 代替調達の必要性確認
- 取引条件の見直し提案
個人顧客(BtoC)
- 使用予定への影響確認
- 心理的不安への配慮
- 簡潔で分かりやすい説明
高齢者顧客
- より丁寧で敬語を重視した表現
- 電話での直接フォロー
- 家族への連絡も検討
海外顧客
- 通関手続きでの遅延可能性
- 現地配送業者との連携
- 時差を考慮した連絡タイミング
季節・時期による調整
年末年始・大型連休
- 配送業者の休業スケジュール
- 通常より長い配送期間の説明
- 代替配送手段の確保
台風・豪雪シーズン
- 天候による影響の説明
- 安全確保の優先順位
- 天候回復後の迅速対応
繁忙期(お中元・お歳暮等)
- 配送集中による遅延リスク
- 早期発送の重要性
- 代替日程の提案
緊急時対応マニュアル
Phase 1: 初動対応(発覚から1時間以内)
即座に実行する事項
□ 顧客からの未着連絡の詳細確認
□ 配送業者への緊急照会
□ 追跡システムでの最終確認位置特定
□ 社内関係者(営業・物流・品質管理)への第一報
□ 代替商品の在庫確認
情報収集項目
□ 注文内容(商品、数量、金額、納期)
□ 発送状況(日時、配送業者、追跡番号)
□ 顧客の緊急度(使用予定、影響度)
□ 配送ルート(中継地点、最終確認地点)
□ 類似事例の有無(同一業者、同一ルート)
Phase 2: 原因調査・対応策検討(1-4時間)
原因究明の進め方
□ 配送業者からの詳細報告取得
□ 配送センター・中継拠点での調査
□ 誤配送の可能性確認
□ システム障害・人的ミスの可能性検証
□ 外的要因(天候、交通事情、事故)の確認
対応策の優先順位
- 最優先:代替品の緊急配送
- 次善策:部分納品・暫定対応
- 最終手段:返金・契約解除
Phase 3: 顧客対応・文書化(4-8時間)
顧客への連絡手順
□ 電話での状況説明と謝罪
□ 対応策の提示と承認取得
□ お詫び状の作成・送付
□ 定期的な進捗報告の約束
□ 緊急連絡先の提供
社内での文書化
□ 事故報告書の作成
□ 顧客対応記録の作成
□ 改善策検討会議の開催
□ 経営陣への報告(重大案件の場合)
□ 再発防止策の策定
Phase 4: 事後フォロー・改善(1週間-1ヶ月)
短期フォロー(1週間以内)
□ 代替品の確実な到着確認
□ 顧客満足度の確認
□ 追加要望・クレームへの対応
□ 配送業者との責任・補償協議
□ 社内関係者への結果報告
中長期改善(1ヶ月以内)
□ 根本原因分析と改善策実施
□ 類似事例の予防策検討
□ 配送業者の評価・見直し
□ 社内プロセスの改善
□ 顧客との関係修復状況確認
よくある質問(FAQ)
Q1: 配送業者のミスの場合、責任はどこにあるのか?
A1: 法的には配送業者に責任がありますが、顧客との関係では発送人である自社が一義的な責任を負います。まず自社が対応し、後で配送業者に求償するのが一般的です。
Q2: 高額商品が紛失した場合の補償はどうするか?
A2: 運送保険の範囲内での補償が基本ですが、顧客満足度を考慮して自社負担での全額補償も検討が必要です。法務・経営陣と相談の上で決定してください。
Q3: 誤配送で第三者に届いた場合の対処法は?
A3: 配送業者を通じて回収を依頼しますが、個人情報保護の観点から直接連絡は避けてください。回収が困難な場合は新品での代替対応を検討します。
Q4: 自然災害による未着の場合も謝罪が必要か?
A4: 不可抗力であっても顧客に迷惑をかけた事実は変わりません。原因説明と共に謝罪し、可能な限りの代替対応を提示することが重要です。
Q5: 連続して同じ顧客で未着が発生した場合は?
A5: 配送方法の根本的見直しが必要です。より信頼性の高い配送業者への変更、直接配送、複数ルートでの配送等を検討し、顧客との信頼関係修復を最優先に対応してください。
テンプレート書式なので必要に応じて文章を変更してご利用ください。ファイル形式はWord(ワード)です。下記からダウンロードしてご利用ください。
重要な注意事項:商品の未着は顧客の業務やプライベートに直接的な影響を与える深刻な問題です。お詫び状の送付と並行して、電話での迅速な状況説明、代替案の積極的な提示、その後の定期的なフォローアップが不可欠です。また、同一の配送業者で繰り返し問題が発生する場合は、業者の変更も含めた抜本的な改善策を検討してください。未着問題は顧客の信頼を大きく損なう可能性があるため、迅速性と誠実性を最重視した対応を心がけてください。