契約内容の誤記について、お客様や取引先に対して謝罪と適切な対応を示すための文書テンプレートです。契約は事業の根幹に関わる重要文書のため、迅速かつ誠実な対応により信頼関係の維持・回復を図ることが不可欠です。会員登録不要・無料ですぐにテンプレートをダウンロードしてご利用できます。
契約内容誤記の重要性と影響
法的リスクの理解
契約内容の誤記は単なる事務ミスではなく、以下のような重大な影響を及ぼす可能性があります:
民事責任
- 債務不履行による損害賠償請求
- 契約解除権の行使
- 信頼関係破綻による取引停止
経済的影響
- 予定外のコスト発生
- 機会損失の発生
- 信用失墜による将来取引への影響
必須記載事項チェックリスト
基本情報
- 発信日付
- 宛名(会社名・部署名・担当者名)
- 発信者情報(会社名・部署名・役職・氏名・連絡先)
- 件名(「契約内容誤記に関するお詫び」等)
謝罪・説明内容
- 明確な謝罪の表明
- 誤記のあった契約書の特定(契約名・契約日・契約番号)
- 誤記内容の具体的説明(何が、どのように間違っていたか)
- 誤記の原因説明
- 正しい契約内容の提示
対応・改善策
- 具体的な修正対応方法
- 修正スケジュール
- 再発防止策
- 連絡先・問い合わせ方法
- 結びの謝辞
文書作成の基本原則
迅速性(Urgency)
24時間以内の初期対応 誤記が判明したら、詳細調査と並行して初期のお詫び連絡を実施。完全な調査結果を待たずに、判明した範囲で迅速に謝罪します。
段階的対応の重要性
- 緊急連絡(電話・メール)- 即日
- 正式なお詫び状送付 – 翌営業日まで
- 修正契約書等の送付 – 1週間以内
具体性(Specificity)
曖昧な表現を避ける
- 悪い例:「契約書に不備がありました」
- 良い例:「令和6年7月1日付サービス提供契約書第3条(料金)において、月額料金を50万円と記載すべきところを、30万円と誤記しておりました」
責任性(Responsibility)
明確な責任の表明 言い訳や外部要因への責任転嫁は避け、自社の責任を明確に認めます。ただし、過度な法的責任の認定につながる表現は慎重に検討します。
誤記パターン別対応ガイド
金額・料金の誤記
リスクレベル:最高 対応の緊急度:即座
【記載例】
この度は、令和6年7月1日付「システム開発業務委託契約書」第4条(委託料)において、
委託料総額を記載する際に以下の誤りがございました。
正しい金額:5,000,000円(税抜)
誤記した金額:3,000,000円(税抜)
本誤記は、弊社内での金額確認プロセスにおいて、概算見積額と確定見積額の
照合作業が不十分であったことが原因でございます。
追加対応事項
- 既に支払いが発生している場合の精算方法説明
- 予算への影響に関する相談提案
- 差額発生に伴う支払条件の再協議提案
期日・期間の誤記
リスクレベル:高 対応の緊急度:高
【記載例】
令和6年6月30日付「商品販売契約書」第2条(納期)において、
納期を以下のとおり誤記しておりました。
正しい納期:令和6年8月31日
誤記した納期:令和6年7月31日(1ヶ月前倒し)
本誤記により、お客様の事業計画に影響を与える可能性があり、
深くお詫び申し上げます。
追加対応事項
- 実際の納期実現可能性の検討結果報告
- 代替スケジュールの提案
- 遅延による影響の最小化策提示
仕様・品質条件の誤記
リスクレベル:高 対応の緊急度:高
【記載例】
令和6年7月1日付「機器購入契約書」別紙仕様書において、
製品仕様を以下のとおり誤記しておりました。
正しい仕様:処理能力 毎分1,000件
誤記した仕様:処理能力 毎分1,500件
この誤記により、お客様が期待される性能と実際の製品性能に
相違が生じる可能性があり、深くお詫び申し上げます。
権利・義務関係の誤記
リスクレベル:最高 対応の緊急度:即座
法的な権利義務に関わる誤記は、法務部門との連携が必須です。
敬語・謙譲語の適切な使用
謝罪表現の段階別使い分け
軽微な誤記
- 「ご迷惑をおかけし、申し訳ございません」
- 「心よりお詫び申し上げます」
重大な誤記
- 「深く深くお詫び申し上げます」
- 「心より深謝いたします」
- 「衷心よりお詫び申し上げます」
影響が甚大な場合
- 「伏してお詫び申し上げます」
- 「深甚なるお詫びを申し上げます」
避けるべき表現
- 「すみません」「ごめんなさい」(カジュアルすぎる)
- 「申し訳ありませんでした」(過去形は誠意不足の印象)
- 「お詫びいたします」(謙譲語として不適切)
業界別・ケース別対応例
IT・システム開発業界
よくある誤記
- 開発工期の誤記
- システム仕様の誤記
- ライセンス条件の誤記
業界特有の注意点
技術仕様の誤記について、以下の点を明確化:
・既存システムとの互換性への影響
・開発スケジュールへの影響
・追加開発費用の有無
・代替技術での対応可能性
建設・不動産業界
よくある誤記
- 工期・竣工日の誤記
- 建築仕様の誤記
- 面積・寸法の誤記
業界特有の注意点
建築仕様誤記の場合の追加説明:
・建築基準法への適合性確認結果
・既存工事への影響範囲
・追加工事の必要性
・工期延長の可能性
製造業
よくある誤記
- 製品仕様の誤記
- 品質基準の誤記
- 納期の誤記
業界特有の注意点
製品仕様誤記の場合:
・安全性への影響評価結果
・品質認証への影響
・既存在庫との関係
・代替製品の提供可能性
法的・実務的重要留意点
契約の法的効力への影響
錯誤による契約無効のリスク 民法第95条により、重要な部分に錯誤がある場合、契約が無効になる可能性があります。
対応策
- 錯誤の重要性について法務部門で検討
- 必要に応じて弁護士への相談
- 合意による契約修正の提案
文書管理と証拠保全
保管義務
- 原契約書:契約期間+7年間
- お詫び状:同上
- 修正契約書:同上
- 内部検討記録:同上
電子契約の場合の注意点
- タイムスタンプの確認
- 電子署名の有効性確認
- バックアップの確保
修正手続きの具体的プロセス
1. 緊急事態対応(初日)
即座に実施すべき事項
□ 関係者への緊急連絡(電話・メール)
□ 社内関係部署への報告
□ 法務部門との相談(重大な誤記の場合)
□ 影響範囲の初期調査
□ 暫定対応策の検討
2. 正式対応(1-3日以内)
文書による正式謝罪
□ お詫び状の作成・承認・送付
□ 修正契約書(案)の準備
□ 修正手続きスケジュールの提示
□ 法的検討結果の共有(必要に応じて)
3. フォローアップ(1週間以内)
継続的対応
□ 相手方の回答・要望の確認
□ 修正契約書の最終調整
□ 署名・締結手続きの完了
□ 再発防止策の実施・報告
よくある失敗例と対策
失敗例1:謝罪が表面的
問題のある対応
「契約書に記載ミスがありました。申し訳ございません。
確認不足でした。以後気をつけます。」
改善された対応
「この度は、令和6年7月1日付システム開発契約書第5条(開発期間)において、
開発期間を6ヶ月と記載すべきところを4ヶ月と誤記し、お客様の事業計画に
重大な影響を与える可能性のある誤りを犯してしまい、深くお詫び申し上げます。
本誤記は、弊社内での工程確認において、基本設計期間の算定を誤ったことが
直接的な原因でございます。今後は、複数名による独立した工程確認制度を
導入し、同様の誤りを防止いたします。」
失敗例2:対応が遅い
問題:誤記判明から1週間後に連絡 対策:24時間以内の初期連絡体制の構築
失敗例3:修正内容が不明確
問題:「修正いたします」のみ 対策:修正後の具体的内容、手続き、スケジュールを明示
再発防止策の実効性確保
チェック体制の強化
3段階チェックシステム
- 作成者による自己チェック
- 同僚による相互チェック
- 上司による最終チェック
チェックポイントの標準化
□ 金額・数量の妥当性
□ 期日・期間の実現可能性
□ 仕様・条件の技術的妥当性
□ 法的要件への適合性
□ 社内基準との整合性
デジタルツールの活用
契約管理システム
- 自動チェック機能の活用
- 承認ワークフローの電子化
- 変更履歴の完全記録
AI活用のリスクチェック
- 過去の契約との相違点抽出
- 異常値の自動検出
- 類似契約との比較分析
実践的文書作成テンプレート
基本構成(A4用紙1-2枚)
令和○年○月○日
[宛名]
○○株式会社
代表取締役社長 ○○ ○○ 様
[発信者情報]
株式会社○○○○
代表取締役 ○○ ○○
〒000-0000 ○○市○○町○-○-○
TEL: 000-000-0000
Email: ○○○@○○○.co.jp
件名:契約内容誤記に関するお詫び
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。
平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
さて、この度は令和○年○月○日付「[契約名]」において、
重大な記載誤りがあり、深くお詫び申し上げます。
【誤記内容】
・該当箇所:第○条(○○)
・正しい内容:○○○○
・誤記した内容:○○○○
・誤記の原因:○○○○
【お客様への影響】
○○○○
【修正対応】
1. 修正契約書の作成・送付(○月○日予定)
2. ○○○○
3. ○○○○
【再発防止策】
○○○○
このたびは、弊社の不注意により○○様にご迷惑をおかけし、
心より深くお詫び申し上げます。
何かご不明な点やご心配な点がございましたら、
下記担当者までお気軽にお申し付けください。
【お問い合わせ先】
担当:○○部 ○○
直通電話:000-000-0000
Email: ○○○@○○○.co.jp
受付時間:平日9:00-18:00
今後ともご指導ご鞭撻のほど、よろしくお願い申し上げます。
敬具
電子化・デジタル対応
電子契約修正時の注意点
電子署名の再実行 修正契約書には新たな電子署名が必要
タイムスタンプ管理 修正日時の正確な記録が重要
バージョン管理 元契約・修正契約の明確な区別
セキュリティ配慮
機密情報の取り扱い
- 誤記内容に機密情報が含まれる場合の追加配慮
- 情報漏洩防止のための送付方法選択
- 受取確認の徹底
最終チェックリスト(5分でできる確認)
発送前確認
- 宛名・宛先の正確性
- 誤記内容の正確な記載
- 修正後内容の正確性
- 法的リスクの検討完了
- 社内承認の取得
- 修正契約書の準備状況
- 連絡先情報の正確性
発送後フォロー(48時間以内)
- 到着確認
- 相手方の初期反応確認
- 修正手続きスケジュール調整
- 社内関係者への状況報告
契約内容の誤記は重大な問題ですが、適切で迅速な対応により信頼関係の維持・回復が可能です。このガイドを参考に、状況に応じてカスタマイズしてご活用ください。
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